抵当権⑦ ~共同抵当、共同根抵当
共同抵当とは、同一の債権の担保として、数個の不動産に抵当権を設定するものです。抵当権者は、任意の抵当不動産について実行することができますが、抵当権者の権利行使の仕方によって、それぞれの抵当不動産上の後順位担保権者が受ける影響が大きいため、その利害を調整する規定が置かれています。
数個の不動産を同時に競売し、代価を配当する場合には、各不動産の価額に応じて、債権の負担を按分します(民法392条1項)。
抵当権者が一部の不動産について抵当権を実行して債権全額の弁済を受けた場合には、実行した共同抵当権者はその代価から債権の全額の弁済を受けることができますが、その不動産の後順位抵当権者は、他の不動産について、実行した共同抵当権者が同時に配当を受ける場合にその他の不動産から弁済を受けるべき金額を限度として、実行した共同抵当権者に代位して抵当権を実行することができます(民法392条2項)。
同様に、同一の債権の担保として、数個の不動産に根抵当権を設定するものを共同根抵当といいます。この「同一の債権の担保」とは、被担保債権の範囲、債務者、根抵当権の極度額が全ての不動産について同一であることを要し、その設定の登記と同時に、数個の不動産に根抵当権が設定された旨の登記をする必要があります(民法398条の16)。
共同根抵当権について、根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者、極度額の変更、譲渡、一部譲渡などは、その共同根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ効力を生じません(民法398条の17第1項)。
そして、共同根抵当権が設定されている場合、1つの不動産について元本確定事由が発生した場合には、そのことをもって、全ての不動産について元本が確定することになります(民法398条の17第2項)。
共同根抵当権の場合には、設定された全ての不動産を通じて極度額までの回収がなされるものであり、具体的には共同抵当権に関する規定が適用され、根抵当権者が数個の不動産を同時に競売し、代価を配当する場合には、各不動産の価額に応じて、債権の負担を按分しますし(民法392条1項)、根抵当権者が一部の不動産について根抵当権を実行して債権全額の弁済を受けた場合には、その不動産の後順位抵当権者は、他の不動産について代位して抵当権を実行することができるなど、後順位担保権者との利害調整がなされます(民法392条2項)。
これに対して、同一の債権を担保するために数個の不動産に根抵当権が設定された場合であっても、上記の「共同根抵当」にあたらない場合には、根抵当権者は各根抵当不動産について極度額まで優先的に弁済を受けることができます。これを累積根抵当といいます(民法398条の18)。
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