先取特権② ~一般の先取特権
次の原因による債権を有する者は、債務者の総財産について、一般の先取特権を有します(民法306条)
① 共益の費用(各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算または配当に関する費用、民法307条)
② 雇用関係(給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権、民法308条)
③ 葬式の費用(債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額、民法309条)
④ 日用品の供給(債務者またはその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の6か月間の飲食料品、燃料及び電気の供給、民法310条)
この一般の先取特権が複数発生する場合、その優先権は、
① 共益の費用
→② 雇用関係
→③ 葬式の費用
→④ 日用品の供給
の順序となります。
また、一般の先取特権と、特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は一般の先取特権に優先しますが、共益の費用の先取特権は、その利益を受けた全ての債権者に対して優先する効力を持ちます(民法329条2項)。
一般の先取特権は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、それでも不足がある場合でなければ、不動産から弁済を受けることができません(民法335条1項)。
不動産から弁済を受ける場合、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければなりません(民法335条2項)。
一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができますが、登記をした第三者(登記をした抵当権者等)に対しては対抗できません(民法336条)。
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