先取特権①

法律が定める特殊の債権を有している者が、債務者の総財産あるいは特定の財産から、一般の債権者に優先して弁済を受けることができるという担保物権です。特に先取特権を設定する旨の契約を締結しなくても、法律上の定めに基づいて当然に「優先的に弁済を受ける」という担保権が発生します。この担保権を「先取特権」といいます。

先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭に対しても行使することができます、ただし、先取特権者は、債務者に対してその払渡または引渡がなされる前に、差押えをしなければなりません(民法304条1項、物上代位)。

先取特権を有する者は、債権の全額の弁済を受けるまでは、先取特権を行使することができます(民法305条、296条、不可分性)。

 

先取特権は、その目的となる債務者の財産の種類によって、一般の先取特権(民法306条)と、特別の先取特権(動産の先取特権(民法311条)、不動産の先取特権(民法325条))とに分けられます。

先取特権を実際に行使する方法としては、目的物について裁判所に競売の申立をすることによります(民事執行法180条、190条)。他の担保権利者の申立により競売手続が開始している場合、その競売手続に参加して、優先順位に応じて配当を受けることもできます。

先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができません(民法333条)。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175