用益物権~地上権、地役権など
他人の土地を一定の目的のために使用収益する物権を、用益物権といいます。民法上定められているもののうち、主なものとして、地上権、地役権などがあります。
地上権
他人の土地において工作物または竹木を所有するためその土地を使用する権利です(265条)。
土地賃貸借契約に基づく賃借権も、他人の土地を使用する権利を設定するものですが、地上権の場合、地主の承諾なしに譲渡することができる点が異なります。
他人の土地の地下または空間について、上下の範囲を定めて地上権を設定することもできます(269条の2)。建物、トンネル、道路、送電線などの工作物を設置するために地下または空間の一定の層に限って設定し、地上工作物のための地上権と重複して成立させることができるという利点があります。
地役権
他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供する権利です(280条)。
他人の土地を通行する権利(通行地役権)、他人の土地から引水する権利(用水地役権)などが例として挙げられます。
要役地の所有権が譲渡されると、地役権も要役地の所有権に従たるものとして、所有権とともに移転します(281条1項)。また、地役権は、要役地から分離して譲り渡すことはできません(281条2項)。
地役権については、民法上時効との関係での規定があります。地役権は、「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの」に限って時効によって取得することができるとされています(283条)。
また、承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、地役権は消滅することとされ(290条)、ただし、地役権者が地役権を行使することによって時効は中断するとされています(291条)。
地役権者が20年間地役権を行使しないとき、地役権は時効で消滅しますが(166条2項)、地役権者がその権利の一部を行使しない時に、その権利を行使しない部分のみが時効によって消滅するということもあります(293条)。
永小作権
小作料を支払って他人の土地で耕作または牧畜をする権利ですが(270条)、現在、新たに設定されることはあまりないようです。
共有の性質を有しない入会権
一定地域の住民が、一定の山林、原野等において、その地域の慣習に従い共同して採集をすることの権利であり、各地方の慣習に従うとされています(294条)。
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