所有権(3)~所有権と共有
共有とは、1個の所有権を、2人以上の物が分有することをいい、この場合、各共有者の有する権利を「持分」といいます。
各共有者の持分は等しいものと推定されますが(250条)、各共有者の意思表示により異なる割合の持分とすることもできます。
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(249条)。
共有物を維持するための保存行為は、各共有者が単独ですることができます(252条但書)。
共有物の管理に関する事項は、持分の価格に従った過半数により決めることができます(252条)。
共有物の変更は、他の共有者の同意がなければ行うことができません(251条)。
共有持分を譲渡することは、持分を有する者が単独で行うことができますが、共有物全体を譲渡する場合には、持分を有するもの全員の意思が必要となります。
各共有者は、その持分に応じて管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います(253条1項)。共有者が1年以内に持分に応じた管理費用や負担の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(253条2項)。
各共有者は、分割しない旨の契約があるような場合でなければ、いつでも共有物の分割を請求することができます(256条1項)。
共有物の分割について共有者間に協議が整わないときは、その分割を裁判所に請求することができます(258条1項)。裁判所は、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、共有物の競売を命じることができ(258条2項)、この場合は、競売による代金を分割することになります。
裁判所による分割の方法としては、現物を分割したうえで金銭による過不足の調整がなされることもあり、更に、共有者の1人が単独で取得し、その者が他の共有者に持分の価格を賠償するという全面的価格賠償の方法も判例上認められています。
他方で、各共有者が、5年を超えない期間において分割をしない旨の契約をすることも可能であり、また、そのような契約を、5年を超えない期間で更新することも可能です。
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