人の住所と居所

民法上、各人の生活の本拠が「住所」とされています(民法22条)。また、住所が分からない場合には、多少の期間であっても継続して居住している場所を「居所」を住所と見なすものとされています(民法23条)。

住所または居所を去り、行方が分からない者(不在者)の財産があり、その管理が必要となることがあります。このような場合、家庭裁判所は不在者の財産を管理する者(不在者財産管理人)を選任して、財産を管理させることができます(民法25条)。

不在者財産管理人が行うことができるのは、基本的に保存行為(財産や権利の滅失、損壊を防ぎ、現状を維持する行為)と、目的物や権利の性質を変えない範囲において利用改良する行為にとどまりますが、これらを超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得てその行為をすることができます(民法28条、103条)。

不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、失踪の宣告をすることができます(民法30条1項)。なお、船舶の沈没など、死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が明らかでないときは、その危難が去った後1年間明らかでないときに、家庭裁判所は、失踪の宣告をすることができます(民法30条2項)。

失踪の宣告がなされると、7年間の経過による失踪宣告の場合には7年間の期間満了時に死亡したものとみなされます。危難が去った後1年間の経過による失踪宣告の場合には危難が去った時に死亡したものとみなされ、いずれも相続が発生することとなります。


ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175