民法における「人」

法律上の権利の主体となるのは「人」と「法人」です。

人(自然人)について、民法は第一編第二章で規定しており、単独で有効な行為を行うことができるかどうかに関して定めを設けています。

まず、人は年齢18歳をもって成年とされ(民法4条)、成年に達していない未成年者は、法律上有効とされる行為をするためには、法定代理人の同意を得なければならないとされています(民法5条1項)。法定代理人の同意を得ていない行為は、取り消すことができます(民法5条2項)。

ただし、未成年者が単に権利を得る、あるいは義務を免れる行為については、単独で有効に行うことができます(民法5条1項但書)。

また、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産については、未成年者がその目的の範囲内において、単独で自由に処分することができます。法定代理人は、目的を定めないで一定の財産の処分を許すこともできます(民法5条3項)。

法定代理人が未成年者に対して特定の営業を許した場合、その営業に関しては、未成年者は単独で有効な行為を行うことができます(民法6条)。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は後見開始の審判をすることができます(民法7条)。後見開始の審判を受けた者には成年後見人が付されます(民法8条)。

この場合、成年後見人は、本人の財産に関する行為の代理権を持ち(民法859条)、成年後見人は本人の行為を取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については取り消すことができません(民法9条)。

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は保佐開始の審判をすることができます(民法11条)。保佐開始の審判を受けた者には保佐人が付されます(民法12条)。

この場合、本人が民法13条1項に定められた各種の重要な財産上の行為(借入や不動産取引、訴訟など)をするためには、保佐人の同意を得なければなりません。ただし、ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については保佐人の同意なしに単独で行うことができます(民法13条1項、9条)。

この場合、保佐人は、原則として本人の財産に関する行為の代理権までは持たず、同意することができるにとどまりますが、家庭裁判所が、特定の行為について保佐人に代理権を付与する審判をすることができます(民法876条の4第1項)。

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は補助開始の審判をすることができます(民法15条)。ただし、この補助開始の審判は、本人の申立であるか、あるいは、本人の同意がなければできず(民法15条2項)、本人の意に反して補助開始の審判がなされることはありません。

補助開始の審判を受けた者には補助人が付されます(民法16条)。

この場合、家庭裁判所が、特定の行為について補助人の同意を得なければならないという審判をすることができます(民法17条1項)。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175