消滅時効
消滅時効とは、権利を行使しない状態が一定期間継続することにより、その権利を消滅させる制度です。
債権は、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間権利を行使しないときと、②債権者が権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅するものとされています(民法166条1項)。
裁判例によれば、割賦金弁済契約うにおいて、割賦払の約定に違反したときは債務者は債権者の請求により償還期限にかかわらず直ちに残債務全額を弁済すべき約定がある場合、1回の不履行があっても、各割賦金債務について約定弁済金の到来ごとに順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める意思表示をしたときに限り、その時から全額について消滅時効が進行するとされています(最高裁昭和42年6月23日判決)。
この債権の消滅時効については、次の例外があります。
(1)不法行為による損害賠償請求権
①被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間権利を行使しないときと、②不法行為の時から20年間権利を行使しないときに、時効によって消滅するものとされています(民法724条)。
(2)人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権
①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間権利を行使しないときと、②債権者が権利を行使することができる時から20年間行使しないときに、時効によって消滅するものとされています(民法167条、民法724条、724条の2)。
(3)定期金債権(年金、定期の扶養料等)
①債権者が定期金債権を行使することができることを知った時から10年間権利を行使しないときと、②債権者が定期金債権を行使することができる時から20年間権利を行使しないときに、時効によって消滅するものとされています(民法168条)。
なお、賃料や利息も定期的に支払がなされるものであり、定期金債権にあたりますが、賃料債権は賃貸借契約に基づくものであり、利息債権は消費貸借契約に基づくものであることから、賃貸借契約や消費貸借契約と切り離して独立に消滅時効にかかることはないとされており、その意味で、民法168条にいう定期金債権には当たらないものとされています。
(4)確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利
時効期間が10年とされます(民法169条1項)。ただし、この規程は、確定の時に弁済期が到来していない債権については適用されません(民法169条2項)。
債権または所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しない時は、事項によって消滅するものとされています(民法166条2項)。
所有権は消滅時効にかからないものとされていますが、他人が取得時効の要件を満たしたときは、その他人が所有権を取得することとなり、元の所有者は所有権を失うこととなります。
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