権利行使を困難にする事由による完成猶予
権利者による権利の行使が難しい場合に、一定期間、時効が完成しないとされる場合があります。
1 未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予(民法158条)
時効の期間の満了前6か月以内の間に、未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6か月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しません(完成猶予)。
未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しません(完成猶予)。
2 夫婦間の権利の時効の完成猶予(民法159条)
夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しません(完成猶予)。
3 相続財産に関する時効の完成猶予(民法160条)
相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しません(完成猶予)。
4 天災等による時効の完成猶予(民法161条)
時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため訴えの提起等の手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から3か月を経過するまでの間は、時効は完成しません(完成猶予)。
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