会社または指定買取人による買取価格の決定
譲渡承認請求がなされた場合に、自社で株式を買い取る対応をする場合には、会社は1株当たりの純資産額(会社法施行規則で定められた計算によります)に対象株式数を乗じた金額を供託しなければならず、また、指定買取人において買い取る対応をする場合には、指定買取人において同額の供託をしなければならないとされています。
しかし、この供託金額がそのまま株式の買取価格となるものではありません。
買取価格は、会社または指定買取人(買主側)と、買取請求者(売主)との協議によって定められます(会社法144条1項、7項)。
協議が整わない場合、上記の20日間の内に、会社、指定買取人または買取請求者は、裁判所に対して売買価格決定の申立をすることができます。
20日間のうちに協議が整わず、かつ、売買価格決定の申立がなされなかった場合には、上記の供託した金額が売買価格とされます。
従って、供託金額を売買価格とすることについて不服である側が、20日間のうちに売買価格決定の申立をしなければならないということになります。
株式の価格の算定(評価)には、DCF方式(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー方式)、配当還元方式、収益還元方式、時価純資産方式、類似情状解消式、取引先例価格方式など、様々な方法がありますが、それぞれ算定方法により算出される金額には相当の開きが生じることも少なくないところです。
裁判所としては、売買価格決定の申立がなされた場合、各種の算定方法の中から、対象会社に適合すると考えられる方法を用いて計算することが多く、複数の算定方法を併用して計算する例も多いところです。
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