譲渡制限会社が買取人を指定する場合
譲渡承認請求がなされた場合に、会社が指定する買取人において株式を買い取る対応をする場合には、会社が譲渡を承認しないことの決定を通知してから10日以内に、会社が指定する買取人において、請求者に対して、株式を買い取ることを通知しなければなりません。
会社が指定する買取人における買取についても、株式の譲渡制限の規制を受けるものであり、指定買取人が買い受けることについて、取締役会あるいは株主総会での決議が必要となります(会社法140条4項、5項)。
更に、指定買取人は通知に先立ち、1株当たりの純資産額(会社法施行規則で定められた計算によります)に対象株式数を乗じた金額を供託し、その供託を証する書面を交付しなければならないとされています(会社法141条2項、142条2項)。
会社が、譲渡承認請求があった日から2週間(定款でこれより下回る期間を定めていた場合には、その期間)以内に取締役会あるいは株主総会での決定内容を通知しなかった場合や、譲渡承認請求に対して承認しない旨の決定を通知してから10日以内に会社の指定買取人が買取りの通知を行わず、かつ40日以内に会社が自ら買い取る旨の通知を行わなかった場合、会社が譲渡について承認する決定をしたものとみなされます(会社法145条)。
以上によれば、一般に、会社としては、株主から譲渡承認請求が出されたものの、買取人を指定して、指定買取人において株式を買い取ろうとするならば、
①譲渡承認請求があった日から2週間以内に、取締役会あるいは株主総会の承認しない旨の決議を経て、その決定を株主に通知する
②承認しないことを決定を通知した日から10日以内に、取締役会あるいは株主総会において指定買取人の指定について決議する
③承認しないことを決定を通知した日から10日以内に、指定買取人において所定の金額の供託を済ませたうえで、供託書の写しを添付して、請求者に対して、株式を買い取ることを通知する
ことが必要ということになります。
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