消費貸借

消費貸借契約は、借主が貸主から金銭などを受け取り、これと種類、品質、数量が同じ物を返還することを約束するものです。一般に、金銭の貸し借り(金銭消費貸借契約)において多く用いられている契約です。


利息について

金銭の貸し借りにおいては利息が付されることが一般的ですが、契約の際に、利息を付することを特約として決めておかなければ、貸主が利息を請求することはできません(ただし、商法の適用を受ける商行為の場合は別です)。実際には、利息の利率を定めておくことが多いと思われます。


貸主としての契約上の義務

貸主としては、契約に従い、目的物(例えば金銭)を引渡す義務を負います(民法590条1項、551条)。

利息付きの消費貸借契約には、売買契約における契約不適合責任に関する民法の規定が準用されますが(民法559条)、金銭消費貸借契約の場合、金銭について「契約不適合」ということが生じないため、契約不適合責任が実際に問題となるようなケースはないものと思われます。


借主としての契約上の義務

借主は、貸主から借り受けた物を消費することができますが、その後、種類、品質、数量が同じ物を返還しなければなりません(民法587条)。

金銭消費貸借の場合、借りた金額と同額を返済する義務を負い、利息の特約がある場合には、借りた金額に利息を加えて返済する義務を負うことになります(民法589条)。

通常、利息の特約とともに、返済期限を定めますが、当事者間で返済期限を定めなかった場合、貸主は借主に対して相当の期間を定めて返還の催告をし(民法591条1項)、借主は催告において定められた期限に返済義務を負うこととなります。

仮に、当事者間で返済時期を定めなかった場合で、貸主が相当の期間を定めず直ちに返済を催告した場合について、判例は、貸主が催告において一定の時期や期間を明示していなくても、その催告の時から借主が返還の準備をするのに相当の期間が経過した後には、借主は遅滞の責任を負う(大判昭和5年1月29日民集9・97)としており、借主は催告の時から相当の期間が経過した時点で返済義務を負うものと考えられます。

この「相当の期間」が具体的にどの程度であるかについては、借主において返済の準備をするための猶予期間を認めるという趣旨から、一般には一週間程度と考えられています。ただ、消費貸借の目的物が何であるか、また、社会及び契約にかかる環境、状況等により一定の幅があるものと思われます。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175