賃貸借① 賃貸借契約の性質と存続期間
賃貸借契約は、貸主がある物について借主に使用・収益させ、借主はその対価として契約期間中の賃料を支払い、契約終了時に目的物を返還するというものです。一般に、不動産の貸し借り(不動産賃貸借契約)において多く用いられている契約類型です。
不動産賃貸借の場合、借主は居住などの社会生活、商売などの経済活動のために目的不動産を使用収益していることが多く、契約の終了と不動産の返還、明渡しは借主の社会生活、経済活動に大きな影響を及ぼすこととなります。
このため、不動産賃貸借契約については、各種の特別立法により、存続期間や借主の第三者対抗力等について、借主を保護する規定を設けられており、現行法規としては借地借家法による借主保護が図られています。
民法による賃貸借契約の存続期間
民法の規定上は、賃貸借の期間は50年を超えることができず、契約で50年よりも長い期間を定めたときであっても、その期間は50年に短縮されるとされています(民法04条1項)。
また、賃貸借契約を更新することはできますが、契約更新後の期間についても、更新の時から50年を超えることができないとされています(民法604条2項)。
旧借地法、旧借家法における賃貸借契約の存続期間(民法の規定の修正)
借地借家法が施行された平成4年8月1日よりも前に成立した不動産賃貸借契約については、存続期間について、基本的に旧借地法、旧借家法の規定の適用を受けます。
a)旧借地法における借地権の存続期間
堅固な建物の所有を目的とする借地権であるか、その他の建物の所有を目的とする借地権であるかで異なります。
堅固な建物の所有を目的とする借地権
存続期間は60年となります(借地法2条1項)。ただし、当事者が30年より長い期間を定めたときは、そのとおりとなります(借地法2条2項)。
借地契約を更新した場合、その存続期間が30年となります(借地法5条1項)。ただし、当事者が30年より長い期間を定めたときは、そのとおりとなります(借地法5条2項)。
その他の建物の所有を目的とする借地権
存続期間は30年となります(借地法2条1項)。ただし、当事者が20年より長い期間を定めたときは、そのとおりとなります(借地法2条2項)。
借地契約を更新した場合、その存続期間が20年となります(借地法5条1項)。ただし、当事者が20年より長い期間を定めたときは、そのとおりとなります(借地法5条2項)。
b)旧借家法における借家権の存続期間
1年未満の期間を定めた場合には、期間の定めのないものとみなされます(借家法3条の2)。
借地借家法による賃貸借契約の存続期間(民法の規定の修正)
借地借家法が施行された平成4年8月1日以降に成立した不動産賃貸借契約については、存続期間について、基本的に借地借家法の規定の適用を受けます。
a)借地権の存続期間
存続期間は30年となります。ただし、当事者が30年より長い期間を定めたときは、そのとおりとなります(借地借家法3条)。
借地契約を更新した場合、1回目の更新では存続期間が20年、その後の更新では存続期間が10年となります。ただし、当事者が30年より長い期間を定めたときは、そのとおりとなります(借地借家法4条)。
b)借家権の存続期間
1年未満の期間を定めた場合には、期間の定めのないものとみなされます(借地借家法29条)。
なお、後に述べるように、定期借地権(借地借家法22~24条)、定期借家権(借地借家法38条)の例外があります。
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