売買② 契約不適合責任の制限

契約不適合責任の期間制限

 売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合で、買主がその不適合を知った時から1年以内に不適合の事実を売主に通知しないときは、買主はその不適合を理由として、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求及び契約の解除をすることができません(民法566条)。

 ただし、売主が引渡の時にその不適合の事実を知り、または不適合の事実を知らなかったことについて重大な過失がある場合には、不適合を知った時から1年以内に不適合の事実を売主に通知しなかったとしても、その時点で追完請求等ができなくなるということはありません(民法566条但書)。

 契約不適合責任に1年の期間制限が課せられるのは、種類または品質に関する不適合に限られ、他人の権利の売買の場合や、目的物の数量不足の場合は1年の期間制限はありません。

 以上の1年の期間制限とは別に、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求及び契約の解除は、債権の消滅時効制度の適用を受けます。

 このため、買主の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求及び契約の解除は、買主が契約不適合の事実を知った時から5年でその権利が消滅します(民法166条1項1号)。また、買主が契約不適合の事実を知らないままでも、売買から10年が経過すると同様にその権利が消滅します(民法166条1項2号)。


契約不適合責任を免除する特約

当事者間で「売主は契約不適合責任を負わない」旨の特約を結ぶことにより、売主として契約不適合責任を負わないこととすることができます。

ただし、事業者と消費者の間の売買契約で消費者契約法が適用される場合や、住宅の売買に関して住宅品質確保法が適用される場合など、買主を保護するための規定が別途定められており、売主が契約不適合責任を負わない旨の特約が無効とされることがあります。

また、このような特約がある場合でも、売主が自分の知っていて告げなかった事実と、自分で第三者のために設定しまたは第三者に譲り渡した権利については、契約不適合責任を免れることはできません(民法572条)。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175