遺産の評価

遺産としてどのような財産があるかについて合意がなされれば、次に、その遺産をいくらとして評価を決めることとなります。


特に不動産については、相続人のうち特定の者が相続し、その他の相続人は不動産以外の財産を取得してバランスをとることが多いことから、その不動産をどのような金額で評価するかは、各相続人の不動産以外の財産の取得額に反映することとなり、重要な事柄です。

一般に、不動産評価の参考となる指標としては、

・相続税評価額(路線価)

・固定資産税評価額

・国土交通省による地価公示価格、都道府県知事による基準地標準価格

などがあります。

相続税申告をする場合には、遺産である土地について路線価による相続税評価の計算をするため、実務的には、相続税評価額をそのまま土地の評価額として用いることもあります。

また、固定資産税評価額は、毎年の固定資産税納入通知において評価額が記載されているため、もっとも容易に把握できる評価額であり、実務的には、特に建物について、固定資産税評価額をそのまま建物の評価額として用いることもあります。

共同相続人の全員が不動産の取得を希望しない場合には、不動産を実際に売却して、その売却代金から売却のための費用(仲介手数料、登記費用等)を差し引いた手取額をもって、評価額とすることもあります。この方法であれば、共同相続人間に不動産評価による損得は通常生じないでしょう。


預貯金については、預金通帳を確認したり、残高証明を取得することで、死亡時の残高を明らかにすることが容易です。

株式については、上場しているものについては日々の相場があるため、いつの時点の相場価格とするかについて合意する必要はあるものの、評価そのものは容易です。

これに対して、上場していない株式(非上場株式)については、貸借対照表上の純資産から評価額を計算する方式や、配当金額から評価額を計算する方式など、いくつかの評価額計算方法があり、どのような評価額とするかについて協議し、合意をする必要があります。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175