質権② ~様々な質権
動産質
動産の質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができず(民法352条)、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってその質物を回復する必要があります(民法353条)。
動産の質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができます(民法354条)。この請求をする場合、質権者はあらかじめ債務者に通知をしなければなりません(民法355条)。
同一の動産について数個の質権が設定された場合、その質権の順位は、設定の前後によります(民法355条)。
不動産質
不動産の質権者は、質権者の目的である不動産の用法に従い、使用収益をすることができます(民法356条)。
一方で、不動産の質権者は管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負うことになりますし(民法357条)、特別な場合を除いて、その債権の利息を請求することができません(民法358条、359条)。
不動産質権の存続期間は10年を超えることができず、設定行為で10年よりも長い期間を定めた場合であっても、その期間は法律上10年とされます(民法360条1項)。不動産質権の設定は更新することができますが、その存続期間は更新の時から10年を超えることができません(民法360条2項)。
権利質
債権の質権者は、質権の目的である債権を直接第三債務者から取り立てることができます(民法366条1項)。ただし、債権の目的物が金銭であるときは、質権者が取り立てることができるのは、自己の債権額に対応する部分に限られます(民法366条2項)。
質権の目的である債権の弁済期が、質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者はは第三債務者にその弁済すべき金額を供託させることができ、この場合、質権はその供託金について効力を有することになります(民法366条3項)。
債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有します(民法366条)。
債権を目的とする質権の設定は、債権譲渡の規定(民法467条)に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、または第三債務者がこれを承諾しなければ、第三債務者その他の第三者に対抗することができません(民法364条)。
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