雇用・請負・委任

雇用契約、請負契約、委任契約は、いずれも契約当事者の一方が他方に対して労力を提供することを約する契約ですが、それぞれ特徴があります。


雇用

雇用契約は、当事者の一方(労働者)が他方(使用者)に対して労務に服することを約束し、使用者が労働者に対して報酬を与えることを約束するものです(民法623条)。

労力を提供する側(労働者)は使用者の指揮に従って労力を提供することとなります。 ただ、現在では、雇用については多くの労働法により、労働者を保護するための規制がされています。


請負

請負契約は、当事者の一方(請負人)が他方(注文者)に対して、ある仕事を完成することを約束し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束するものです(民法632条)。

請負人は仕事を完成させる義務を負い、仕事の結果について、売買契約における売主と同様の契約不適合責任・担保責任を負います(民法559条)。

注文者は、目的物の引渡と同時に報酬を支払わなければなりません(民法633条)。物の引渡を要しない仕事の場合には、請負人の仕事が終了したときに報酬を支払わなければなりません(民法633条但書、624条1項)。

注文者に落ち度がなく仕事を完成することができなくなったときや、請負契約が仕事の完成前に解除されたときで、請負人が既にした仕事の結果のうち一部分をもって注文者が利益を受けるときは、その部分が仕事の完成とみなされ、請負人は注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができます(民法634条)。


委任

委任契約は、当事者の一方(委任者)が他方に事務の処理を委託し、他方(受任者)がこれを受託するものです。

受任者は、一定の範囲において裁量権限を持つとされますが、他方で、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います。

委任契約は、特約がなければ受任者から委任者に対して報酬を請求することができないとされていますが(民法648条1項)、実際には、報酬額を定める委任契約が締結されることが多いと思います。

当事者間の信頼関係が基礎となるので、当事者の双方とも、いつでも解除することができるものとされています(民法651条)。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175