賃貸借④ 定期借家権
借地借家法は、一定の要件のもとに、「正当の事由(借地借家法28条)」がなくとも、当初定められた契約期間で借家関係が終了し、その後の更新がない賃貸借契約(定期借家契約)を認めています(借地借家法38条1項)。
この定期借家契約を締結するためには、公正証書等の書面によって契約をするほか(借地借家法38条1項)、契約契約締結にあたり、賃貸人は賃借人に対し、「契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借関係が終了すること」について記載した書面を、契約書とは別に交付して説明する必要があります(借地借家法38条2項)。これは、賃借人に定期借家契約であることを十分に理解してもらうために課されるものです。仮に、賃貸人がこの書面による説明をしなかったときは、定期借家契約ではなく一般の借家契約となり(借地借家法38条3項)、契約期間満了という理由だけで借家関係を終了させることはできません。
更に、定期借家契約の期間が1年以上の場合、賃貸人は賃借人に対して、期間満了の1年前から6か月前までの間に、「期間の満了により賃貸借契約が終了する」旨を通知する必要があります(借地借家法38条4項)。
なお、定期賃貸借では、特に当事者間の合意がない限り、賃貸人の方からも、賃借人の方からも、中途解約の申入れができないことが原則ですが、定期借家契約の場合、床面積が200㎡未満の居住用の建物については、賃借人が、転勤、療養、親族の介護等のやむを得ない事情により、建物を生活の本拠として使用することが困難となったときには、賃借人の方から中途解約の申入れをすることが可能であるとされています(借地借家法38条5項)。この場合、借家契約は解約の申入れの日から1か月を経過することによって終了します(借地借家法38条5項)。
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