相続人不存在の場合
被相続人に子、直系尊属、兄弟姉妹、配偶者が一人もいない場合や、いても全員が相続放棄をした場合、相続人が不存在の状態となります。
この場合、相続財産は最終的には国庫に帰属するとされています(民法959条)。
相続人が不存在の場合、利害関係人または検察官が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立、家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、その相続財産管理人が相続財産を管理し、相続財産の範囲で債務の支払をし、最終的に相続財産が残る場合には国庫に引き継ぐ手続をとることとなります。
この相続財産管理の手続において、特別縁故者への分与がなされることがあります。
これは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者などからの請求により、家庭裁判所が審判によって、最終的に残った相続財産の全部または一部を与えるというものです。
相続人でない者が、被相続人と生計を同じくしていたり、被相続人の療養看護を行っていたりした場合には、自ら利害関係人として相続財産管理人の選任申立を行ったうえで、相続財産分与の申立をすることを検討すると良いでしょう。
ただ、この申立は、相続財産管理手続の中の、相続人捜索の公告(民法958条)の期間満了後、3か月以内にしなければならないという特別の期間制限があります。また、分与の対象となるのは、あくまでも相続財産管理手続の中で清算(債務の弁済)が終了した後、残存した財産があればということになります。
ですから、相続財産分与の申立が奏功しそうであるかを検討し、また、適法に申立をするためには、弁護士などの専門家に相談、依頼して進めることが望ましいと思います。
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