効果的な強制執行のために② ~弁護士法23条の2の照会
強制執行のための調査に有益な手法として、「弁護士法23条の2に基づく照会」という制度があります。
弁護士法23条の2に基づく照会は、弁護士が受任した事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた制度であり、弁護士の申出により、所属の弁護士会から公務所又は公私の団体に対して必要な事項を照会し、報告を求めるというものです。
照会先は「公務所又は公私の団体」とされていますが、純然たる個人以外は、個人経営の病院、診療所、事務所など広く照会の対象となると解されています。
債権者が弁護士に債権回収を依頼した場合に、担当弁護士が所属弁護士会に申し出ることで、弁護士法23条の2に基づく照会がなされることになります。
この弁護士会照会は依頼者の私益を図る制度ではなく、事件を適正に解決することにより国民の権利を実現するという公益的制度であり、照会に対する報告は公法上の義務であるとされています。もっとも、照会先は正当な理由があるときはその全部又は一部について報告を拒絶することが許されると解されており、拒絶の正当な理由が認められるか否かは、個々の事案に即して、照会事項ごとに判断されることになります。
実務上、債務者名義の預貯金の有無を調査する場合などに効果的な手法です。
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