訴訟手続の概要

弁護士の仕事の多くは「紛争の解決を目指す」というものですが、弁護士が良く用いる紛争解決のための代表的な手続が「訴訟」です。

この「訴訟」について大まかにご説明します。


訴訟の仕組み

訴訟は、当事者双方が相互に主張(言い分)と立証(証拠の提出)を行うことにより進行します。

裁判所は、当事者双方の主張を聞き、そのうえで、それぞれの主張を立証する証拠を評価して、主張を認めるかどうかを「判決」という形で判断します。主張を立証する証拠がない場合には、基本的にその主張は認められません。


主張(当事者の言い分)

 ↑  証明できるかどうかが問題

立証(自らの言い分が真実であることを証明すること)


大切なことは、証拠書類があるか

訴訟では、当事者がどのような主張をしたとしても、その主張を立証できない場合(証拠がない場合)、基本的にその主張が裁判所によって認められることはありません。

この場合の証拠とは、主に、契約書、確認書、合意書、念書等の証拠書類が想定されます。電子メールやSNSのメッセージなど、文字で表現されているものであれば、証拠書類と捉えて良いでしょう。

証拠書類があってもその作成に相手が関与していない場合(こちらが一方的に作成したような場合)や、口約束のみで書類の作成がないような場合、約束が成立したことや、約束の内容などを立証することは一般には困難です(録音や録画があるとある程度証拠書類の代わりになることはあります)。


判決について

訴訟は裁判所が判決を言い渡すことによって終了します。

ここで注意しなければならないのは、仮に勝訴判決を得たとしても、そのことで直ちに問題が解決するとは限らないことです。特に、金銭の支払を求める訴訟を提起した場合、勝訴判決を得ても実際に相手方が支払をしないことが少なくありません。

このような場合、勝訴判決を得た側としては、強制執行(相手方の家や給料等の財産を差し押さえること)を行って回収を図ることができます。

しかし、相手方が強制執行の目的となる財産をそもそももっていないような場合や、相手方が破産したような場合には、最後まで回収ができないこともあります。この場合、勝訴判決はまさに絵に描いた餅になってしまいます。

ですから、訴訟を提起する際には、勝訴の見込みだけでなく、勝訴判決を得ることで問題が解決できるのか、強制執行をする必要があるのか、強制執行に実効性があるのか等の見通しをもって進めることが重要になります。


和解について

訴訟は、必ず判決の言い渡しで終了するというわけではありません。

訴訟の中で、裁判所から当事者双方に和解(話し合いを行い、当事者双方の合意により解決すること)が提案されることがあります。特に、判決がなされる前には、裁判所は何らかの和解の機会を設けることが一般的です。

和解は、双方が納得した解決になることや、和解により定められた内容が任意に履行されやすい等の利点があります。

裁判所から和解が提案された場合、判決になった場合の見込みや、和解で解決することの利点等を考慮しながら、和解に応じるかどうかを判断することが重要になります。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175