株式譲渡制限会社とは

株式の法的性質

「会社」は、営利を目的とする団体で、法律上の権利義務の主体となる法人格を認められているものです。このような団体の構成員を「社員」と言います(この意味での「社員」は、一般に会社に勤務する人、会社員を指すものではありません)。

日本の「会社」のうち、多くは「株式会社」ですが、この「株式会社」は、上記の意味での「社員」の地位が均等に細分化された株式の形をとり、社員は会社に対し各自の有する株式の引受価額を限度とする出資義務を負うのみで、会社債権者に対しては何らの責任を負わない形態の会社です。

そうすると、株式会社は「株式(株主)」により構成されている団体ということになり、そうであるからこそ、代表者(代表取締役)に誰を選任するかといった重要な事項は、株主総会で決められることとされています。

株式を所有する株主は、出資額以上のリスクを負うことなく、株主総会における議決権行使等を通じて会社の経営に参加しながら、会社から配当等の経済的利益を受けることができます。

株式の譲渡制限

上場している株式会社以外の、多くの株式会社においては、定款において、株式を譲渡する場合に株式会社の承認を要するものと定められています。このような株式を「譲渡制限株式」といい、発行する全ての株式が譲渡制限株式である会社は、一般に「株式譲渡制限会社」と呼ばれています。

株式譲渡制限会社の法人登記情報を確認すると、「株式の譲渡制限に関する規定」という欄に、「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を受けなければならない。」等の記載がなされています。

会社法上、株式を譲渡することについて株式会社の承認を要するものと定めることができるとされているのは、株式会社が「株式(株主)」により構成されている団体であり、親族で経営している会社などでは、団体の構成員に変更を生じさせたくない、言い換えれば、現在の株主にとって信頼関係の無い者が新たに株主となるを避けたいというニーズがあることによります。

上場している株式会社の株式であれば、株主は自由にその会社の株式を売買することができますが、株式譲渡制限会社の株式については、株主は自由にその会社の株式を売買することはできず、会社法が定める譲渡のための手続をとる必要があります。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175