離婚の効果と離婚に付随する事項

離婚の効果

 離婚により婚姻関係が解消することで、法律上、主に次のような婚姻の効果が生じます。

1 同居・協力・扶助義務(民法752条)の消滅

 同居・協力・扶助義務が消滅し、また、相互に婚姻費用の分担義務を免れることとなります。

 他方で、親権者となった者に対して、他方の者において養育費の支払義務を負うこととなります。

2 復氏(民法767条)

 婚姻の際に氏を改めた夫または妻は、離婚によって婚姻前の氏に復することになります(民法767条1項)。ただし、離婚の日から3か月以内に届出をすることにより、離婚の際に称していた氏をそのまま称することができます(民法767条2項)。

3 相続との関係

 離婚により相互に配偶者としての相続権を失うことになります。


離婚に付随する事項

 離婚に付随する事項として、次の問題があります。

1 親権者

 協議離婚において、未成年の子がいる場合、父母の一方を親権者と定めなければなりません(民法819条1項)。

 裁判上の離婚の場合には、裁判所が、父母の一方を親権者と定めることになります(民法819条2項)。

2 養育費

 父母が協議離婚をするときは、子の監護に要する費用の分担について必要な事項を協議で定めるものとされており(民法766条1項)、いわゆる養育費の額を協議で決めることなります。

 この協議が整わないときは、家庭裁判所が離婚の判決や、家事審判などにおいて養育費の額を決めることとなります。

3 面会交流

 父母が協議離婚をするときは、父又は母と子との面会及びその他の交流について必要な事項を協議で定めるものとされており(民法766条1項)、いわゆる面会交流に関する事項(子どもと会う、会わせる頻度や会わせる場所、時間帯等)を協議で決めることなります。

 この協議が整わないときは、家庭裁判所が離婚の判決や、家事審判などにおいて面会交流に関する事項を決めることとなりますが、実際に子どもと会う、会わせることについては、日時の調整や送り迎え等、当事者間の適時、随時の連絡調整が必要不可欠であり、離婚後の父母間において一定程度の信頼関係がないと難しい面もあります。

4 財産分与

 離婚した者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができます(民法768条)。これは、主に、夫婦双方が婚姻期間中に協力することによって得た財産を清算するという趣旨を中心とするものとされています。

 離婚が成立した後2年以内であれば財産分与の請求をすることができることとされていますが(民法768条2項但書)、一般には、離婚と同時に財産分与の内容を決めることが多いと思います。

5 慰謝料

 法定の離婚原因に関して、相手方が、自ら婚姻関係の破綻を招く行為を行っていた場合には、相手方に対して、離婚によって生じる精神的苦痛について損害賠償を求めることができます(民法709条)。実務的には、前記の財産分与と一体として解決されることも少なくありません。

6 年金分割

 離婚した場合、離婚後2年以内であれば、厚生年金及び共済年金について、年金分割の手続を取ることができます。これは、夫婦の婚姻期間中のそれぞれの厚生年金・共済年金の納付記録の合計額を、当事者間で分割することで、将来の年金額に反映させるというものです。


 以上は、いずれも離婚後の生活に大きく影響を与える問題であり、離婚すること自体は双方が合意していても、これらの付随する事項について条件が折り合わないことが少なくありません。

 このような場合、適正妥当な離婚の条件(特に、養育費、財産分与、慰謝料等)を踏まえた解決を得ることを期待して、早期に離婚調停申立をした方が良いケースも多いと思われます。

ひいらぎ法律事務所

弁護士 渡辺 慎太郎 (福島県弁護士会所属) 福島市にある法律事務所です TEL.024-572-6173 FAX.024-572-6175